メダカの飼い方(繁殖編)
メダカを飼育する上で必然的に繁殖させることになります。それはメダカの産卵サイクルが早い為です。また、メダカを楽しむ上で欠かすことのできない要素とも言えます。今、メダカを飼育する誰もがメダカの繁殖に挑戦してます。 また、それと同時にヒレや体型、体色などのメダカの遺伝的要素を考慮し繁殖を重ねることで、他には無いオリジナルのメダカを生み出すと言う楽しみ方までできます。 子供から大人まで幅広い年代の方が自分の好みに合わせて繁殖を行うことができる。そのような魚はメダカ以外にはないでしょう。
雌雄の判別
メダカの雌雄の判別は他の魚たちに比べると大変簡単です。背ビレと臀(しり)ビレの形を見れば、ほぼ100%雌雄の見分けがつきます。
- 背ビレ
- オスの背ビレは全体的にギザギザしていて一本の大きな切れ込みが入ります。これに対し、メスの背ビレの縁は滑らかで切れ込みも入りません。
- 臀(しり)ビレ
- ヒレの縁の形状に着目しましょう。オスの臀(しり)ビレの縁は直線を描いて後方へ伸びています。これに対し、メスの臀(しり)ビレは滑らかな曲線を描いているのです。
繁殖に必要な道具
- いつもメダカを飼育している容器
- 産卵をさせるのは、いつもの容器でOKです。
- 稚魚用容器(サテライト水槽、小型水槽、メダカ鉢)
- 産み付けられた卵や、孵化した稚魚を親から隔離しておくための容器です。大変残念なことですが、親メダカは卵や孵化仔魚を食べてしまいます。 そんな悲しい事態を避けるためにも重要なことです。
- 産卵床(水草・産卵用ネットなど)
- 文字通り、メダカが卵を産みつけるためのものです。野生のメダカたちは水草に卵を絡ませて産みつけています。
産卵させる為に必要な要素
- 日照時間の調整
- メダカは日照時間(太陽が照っている時間)によって繁殖期を判断しています。野生のメダカは立春を過ぎたころから産卵が始まります。飼育環境の下でも、これを再現してあげることが重要なのです。具体的には鑑賞魚用の照明を使い、一日約13~14時間、水槽を照らしてあげましょう。そうすると冬場でもメダカたちは卵を産んでくれます。
- 水温の管理
- 寒くなるとメダカは、あまり餌を食べなくなり底の方でじっとしていることが多くなります。こうなると産卵どころの話ではなくなってしまうのです。野生のメダカは水温が18~20℃を超えると産卵を開始します。 この温度は立春の頃の水温とほぼ同じくらいなのです。日照時間、水温ともにメダカに産卵を促す為に必要な条件です。飼育環境の下でもメダカが産卵しやすい水温を作ってあげることが重要です。観賞魚用ヒーターを使い水温を約25℃付近にしましょう。
- 餌やり(飽和給餌(ほうわきゅうじ))
- 飽和給餌とは、普段なかなか耳にしない単語ですが重要な点です。飽和給餌とはメダカがお腹いっぱいになるまで餌を食べさせるということです。産卵にはものすごいエネルギーを必要とします。 親メダカの栄養状態が良くなければ、エネルギー不足で産卵をすることができなかったり、産卵数が少なくなることがあります。通常の飼育でも産卵することはありますが、飽和給餌をすることによって、産卵数が増えたり、孵化する稚魚が丈夫に育つ可能性は高まります。
繁殖を目的とした飼育の場合には、ある程度メダカが大きくなりエサを食べることに慣れてきた時点で、ろ過能力とバランスを見ながら徐々に給餌量を増やしていくが大事です。ろ過能力が足りない場合は追加するなどして改善します。そうして、飽和給餌ができるようになれば、メダカは栄養が行き届いた姿となり繁殖の準備が整います
飽和給餌に関して補足説明
飽和給餌が出来ているメダカと出来ていないメダカの比較
どちらが飽和給餌できているメダカであるか一目瞭然ですね。飽和給餌によってメダカの太り具合というのはここまで差が出るものです。
しかし餌のやりすぎにはご注意しましょう。メダカが食べ残して一日で水換えが必要になるくらい餌が残ってしまってはやりすぎです。メダカの様子を観察しながら、餌の量を調節しましょう。大切なのは、一度に大量のエサを撒くのではなく、いつもの3~5倍量のエサを少しずつ数回に分け時間をかけて与えると良いでしょう。
例えば普段1日3回1つまみのエサをあげているとしましょう。その場合、産卵期には1日を通じて9~15つまみ分のエサを与えます。ただし、3回の給餌でこの量を与えることは難しいためエサの回数を増やします。1日5回程度、2~3つまみずつ与えてあげてください。
※注意:飽和給餌をおこなう際は水質の変化が起こりやすいため底面掃除や換水などもおこないメダカの状態に目配り・気配りを忘れないようにしましょう。
産卵から稚魚の育成まで
産 卵
産卵が近くなるとメスのおなかはパンパンに膨れオスがメスに寄り添って泳ぐようになります。時間がたつとメスはお腹にぶら下げるような形で体外に卵を放出します。 このときペアとなっているオスが卵に精子をふりかけ受精します。その後、メスは産卵床となる水草やネットの中に入り卵を産み付けていきます。 産卵床に卵がついていることを確認したら産卵床ごと他の容器に移しましょう。
孵 化
水温により異なりますが水温が25℃程度の場合、約1週間ほどで孵化が始まります。生まれたばかりの稚魚はおなかにヨークサックと呼ばれる栄養のかたまりを持っていて1~2日はこの栄養を消費して過ごします。餌を食べるようになったらインフゾリアと呼ばれる原生動物や粒の細かい人工飼料を与えます。
孵化仔魚の育成
孵化後:約1週間経過(体長:約5mm)
エサを食べるようになりますが、まだまだ針のように体は細く色も黒っぽいメダカが殆どです。孵化して間もないメダカは水温や水質の変化に弱く少しのショックで死んでしまいます。また泳力も殆どないため吸い込み式のろ過を使うのはNGです。エアレーションのみ、もしくは目の細かいスポンジフィルターを使いましょう。
孵化後:約1ヶ月経過(体長:約1.5mm)
少しずつメダカらしい体型になってきます。体色が色づき始めている個体が出てくるのもこの頃です。もう人工飼料も食べることができるので、どんどんエサを与えていきましょう。
孵化後:約2ヶ月経過(体長:約2.5mm)
約2か月まで育つとメダカだと分かる体形になります。全て同じ親から生まれたメダカでも色が違ったり体型が違ったりと驚かされることでしょう。中にはダルマメダカとかヒカリメダカがいる場合があります。 全て同じものが生まれないところがメダカ繁殖の魅力の一つです。